エッセイ 女王様の退屈

第10章 生れ変わる


女房は夕食を食べながら、私に話しかけた。

「私はあなたのことをとても愛しているのよ。だから私がもし死んだら、もう一度生まれ変わって、またあなたと一緒になろうと思うの。すばらしいことだと思わない?私達は来世でも結ばれるのよ。」

『憑 依』とか『生れ変わりreincarnation』とか言われる現象は存在していて、国や地域の文化と深く関わっているらしい。精神医学的には一種のヒス テリーまたは神経症の類として扱われることが多い。わが国ではこっくりさんや狐つきなどが有名だ。しかしこの場合はそれらのものに"憑りかれた"といわれ るケースがほとんどで"憑りつく"ことを宣言するという症状は精神医学的にもきわめて珍しいかもしれない。

『どんなに狂っていても私は女房を愛している』と、私は自分自身に心の中で言い聞かせながら、私は女房に言った。

「たのむから、あんまり妙なことは考えないでくれないか。気持ちはとてもうれしいんだけど、死んだら迷わず成仏しておくれ。」


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