女性は50歳を迎えるころになると閉経、つまり生理が止まってしまいます。

女性の一生を考える場合、性成熟期から老年期への移行期と位置づけられるわけですか、同時にこの時期は肉体的にも心理的にも社会的にも一大転機となるのです。



まさにこれを更年期障害といいのぼせ、発汗などの一連の不定愁訴の症候群をいいます。

卵巣から分泌される女性ホルモンが少なくなることが原因です。

この不定愁訴といわれるものは、一般に検査上何も異常がないことが多く、あげくのはては医者から『どこも異常はないのだから、気の持ちようだ』とまともに取り合ってもらえなかったり、そのため医療機関を点々としたり、精神科へ紹介されたりすることもあります。




閉経や老化による女性らしさや身体に対する自信の喪失に加え、家庭での子供の独立、近親者の死などの環境の変化による喪失体験や失望感から否定的概念を抱きやすくなります。




30歳頃までに産んだ子供たちはそろそろ自立する年頃になり、夫は会社や地域の中で中心的な役割を担うようになってきますが、主婦だけが社会から取り残されたような疎外感を感じたり、孤独感を感じることも多いようです。

50歳台後半になると夫の定年退職が間近となり、経済的不安を抱くこともあります。

また子供の自立に伴い母親としての役割が失われ、妻という立場はそのままでも、嫁という立場から、姑という立場や祖母という役割に移行する時期でもあります。

しかし、閉経から老年にいたる変化を『閉経によって何かを失う』のではなく、自らの役割の変更を迫られる時期と解釈し、精神的、時間的、体力的余裕 を生かして、『今までできなかったことをもう一度やってみよう』という新たな可能性に挑戦する時期と位置付けることもできます。



 更年期障害の症状 

更年期障害の症状の経過には自律神経系の機能と密接な関係みあり、当初の2〜3年は副交感神経緊張期で、不安定移行期を経て、その後の7〜8年は交感神経緊張状態に移行し、また10年後ぐらいになると自律神経過敏状態になると説明されています。

副交感神経緊張期

顔面紅潮・のぼせ・発汗・多汗・動悸・イライラ・不眠・うつ状態・頻尿・倦怠感・咽喉異物感・食欲不振・下腹部痛・過敏性大腸症・帯下感

不安定移行期

不正性器出血

交感神経緊張期

冷え症・頭痛・頭重感・肩こり・腰痛・下肢の痛み・四肢のしびれ・皮膚掻痒症・口内異物感

自律神経過敏期

めまい・耳鳴・かすみ眼・老人性腟炎・子宮下垂・子宮脱・尿失禁・骨粗鬆症・老人性痴呆


 自己診断テスト 

更年期簡略指数(SMI)

更年期の自己診断をしてみましょう。

症状
顔がほてる 10 6 3 0
汗をかきやすい 10 6 3 0
腰や手足が冷えやすい 14 9 5 0
息切れ、動悸がする 12 8 4 0
寝つきが悪い、眠りが浅い 14 9 5 0
怒りやすく、イライラする 12 8 4 0
くよくよしたり、憂うつになる 7 5 3 0
頭痛、めまい、吐き気がよくある 7 5 3 0
疲れやすい 7 4 2 0
肩こり、腰痛、手足の痛みがある 7 5 3 0

更年期簡略指数の
自己採点の評価法

10項目の合計点で判定

0〜25点

異常なし

26〜50点

食事、運動に注意

51〜65点

更年期、閉経外来を受診
66〜80点 長期間の計画的な治療
81〜100点 各科の精密検査、長期間の計画的な治療


 更年期障害の治療 

更年期障害の治療はその成因からホルモン療法が主流で、さらに対症療法として向精神薬、自律神経剤、ビタミンE療法、漢方薬などが使われており、それぞれの薬剤の薬効ではすべての愁訴をカバーできないので、それぞれが併用されるのが一般的です。

のぼせや発汗などの血管運動神経の症状には女性ホルモンの補充療法が最も効果的です。

ただし、これは精神的影響の大きい症状を改善する力はあまりありません。

以前は子宮癌誘発の危険性があると言われていましたが、その後開発された投与法によりその心配もなくなりました。

ただ、日本ではこのホルモン補充療法に抵抗を感じる方が多いことも事実です。

これに対して、多彩な愁訴に対して単一の方剤によって治療が可能であること、症状が自覚的、精神神経的で器質的病変に乏しいいことから、当院では漢方薬を処方する機会が多くなりました。

この選択は医師と相談のうえ、治療を受ける本人が決めるものです。受診の際、よくご相談ください。